令和7年度 福島県民間団体活動支援事業補助金(配偶者暴力被害者等支援 調査研究事業)実績報告
はじめに:福島県の皆様、そして支えてくださった皆様へ
まず、本事業を温かく見守り、力強い支援をいただいた福島県、ならびに関係機関の皆様に、心より感謝申し上げます。 皆様からの「信じて託す」という後押しがなければ、行き場を失い、深夜の暗闇で立ち尽くしていた多くの命を繋ぎ止めることはできませんでした。現場を支えてくれたボランティアや地域の方々、連携してくださった全ての皆様と、この成果を共有したいと思います。
現場で起きた「地殻変動」:32名から177名へ
今年度、私たちは大きな決断をしました。それは、シェルターの受け入れをこれまでの「短期」から、生活再建を見据えた「長期」へと切り替えたことです。 結果、昨年度32名だった利用者は、今年度177名へと跳ね上がりました。5.5倍というこの数字は、単なる実績ではありません。「中長期の居場所があるなら逃げたい」と願っていた人々が、福島の地にこれほど多く潜在していたという、痛切な叫びそのものです。
しかし、現実は甘くありませんでした。「1ヶ月」という期限を設けても、その期間で傷が癒え、自立できるケースは稀です。最長51日の滞在が必要だった事例(現在別件ですが、最長期間更新の可能性あり)が示す通り、私たちが用意した枠組みすら、現場の苦境は軽々と超えていきました。
暴力の複雑化と常時対応
私たちが向き合ったのは、パートナーからの暴力だけではありません。兄弟間の暴力や、複雑に絡み合った家庭内不和など、既存の窓口では「対象外」とされかねない、制度の狭間で震えている人々です。 暴力に「平日の日中」というルールはありません。深夜に鳴り響くSOSに対し、しゃくし定規な対応は無力です。私たちは中央共同募金会様の助成事業を並行して活用し、独自の仕組み化で夜間対応を貫きましたが、これは本来、民間だけの肩に乗せるべき重荷ではないはずです。
「対処療法」を終わらせるための、私たちの誓い
今回の事業で最も胸を痛めたのは、安全を確保したはずの被害者が、再び暴力の現場へと戻ってしまう「再利用率」の高さです。 経済的な困窮、精神的な孤立、依存、自立への壁。今の私たちの支援は、まだ火を消すだけの対処療法に留まっているのではないか。その悔しさが、今も消えません。
だからこそ、来年度はここを突破口にします。かくまうだけのなんとなくの支援ではなく、なぜ戻ってしまうのか、どうすれば自立の道が拓けるのかを、定量的・論理的に徹底的に検証します。勘や経験に頼るのではなく、積み上げたデータを武器にして、被害者が二度と絶望の淵に戻らなくて済む確かな自立モデルを、福島から構築していきます。
本事業を通じて可視化されたこれらの課題こそが、私たちが次に向かうべき道標です。引き続き、皆様と共に歩ませていただければ幸いです。










